熊本憲三[くまもとけんそう] - 広島市安芸区
熊本けんそう
安心・安全なまちづくり

「トライ」市議会だより 【平成28年1月発行】 No.69

明るい美しい国日本
 協調・実践を政治の中心として

~郷土のお役に立たせて頂くために~

 新しい年を迎えました。今年一年、皆様が無病息災で和やかに日々過ごされますことを心からお祈り申し上げます。
「芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)、春の七草」

 古来私たち日本人は日本語やそのリズムの美しさを尊び愛し感動するとともに、自然を崇拝し、祖先を敬い、人の和を大切に助け合うことを道義道徳として、これを受け継ぎ、守り、伝えてきました。こうした道義道徳は、日本人が日本人であるための心得であり、私たちの子や孫に引き継いでいかなければなりません。

 戦後70年が経過し、世界はこれまでの秩序が崩れ、宗教や文化の違いなどに起因した対立や亀裂から、過激派組織によるテロ行為が世界各地に広がっています。昨年1月、2人の日本人がイスラム過激派組織「イスラム国」に拘束され殺害されました。また、昨年11月にはフランスにおいて「イスラム国」による同時テロで約130人が亡くなりました。非道かつ卑劣極まりないテロ行為を断固として糾弾するとともに、テロの背景にあるとされる格差や差別などの課題の克服に努力していかなければなりません。また「安心・安全で安定した社会」は、異なる価値観を持つ他者との共存共栄なくしては実現できません。

 歴史作家の司馬遼太郎氏は、「21世紀に生きる君たちへ」と題する作品の中で、人が生きていくうえで最も大切な心構えについて、次のように述べています。

 『人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。このため、助け合う、ということが、人間にとって、大きな道徳になっている。助け合うという気持ちや行動のもとのもとは、いたわりという感情である。他人の痛みを感じることと言ってもいい。やさしさと言いかえてもいい。「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」みな似たような言葉である。この三つの言葉は、もともと一つの根から出ているのである。根といっても、本能ではない。だから、私たちは訓練をしてそれを身につけねばならないのである。その訓練とは、簡単なことである。例えば、友達がころぶ。ああ痛かったろうな、と感じる気持ちを、そのつど自分の中でつくりあげていきさえすればよい。』

 昨年11月、政府は一億総活躍社会を実現するための緊急対策を決定しましたが、そうした政策の礎(土台)には「人づくり」がなくてはなりません。戦後70年の長きにわたり、私たちは「助け合い守り合う」ことの大切さをしっかりと育むことをなおざりにしてきたように思います。これからは「助け合い守り合う」人づくりを国家百年の計として、私たち一人ひとりの身に修め、守り伝えていくことが大事であると考えます。「助け合い守り合う」ことを社会の心(しん)に据えた国づくりをしていかなければなりません。

 昨年6月、18歳から選挙で投票できるようにする改正公職選挙法が成立し、今年の6月19日から施行されます。現在、世界の趨勢はすでに18歳以上に選挙権を認めていますが、我が国においては昭和20年に25歳以上から20歳以上に選挙権を与える年齢が引き下げられ、それ以来の70年ぶりの改正になりました。今回の改正を受けて、国は「私たちが拓く日本の未来」と題する高校生用の教材を新たに作成し、配付しました。その本では、教材作成の目的を次のように説明しています。

 「選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられたことを踏まえて、高校生の間から有権者となりうる高校生世代が、これまでの歴史、つまり今まで受け継がれてきた蓄積や先人の取組や知恵といったものを踏まえ、自分が暮らしている地域の在り方や日本・世界の未来について調べ、考え、話し合うことによって、国家・社会の形成者として現在から未来を担っていくという公共の精神を育み、行動につなげていく。」

 若者の政治離れが進んでいると言われていますが、身近で起きている問題や課題をどのように解決しようとしているのか、あるいはどのような国家や地域社会を目指そうとしているのかを分かりやすく伝えていく責任は政治家にあります。

 「歴史は繰り返す」といわれます。いま世界はこれまでにないほど複雑な民族・宗教の対立や地球環境問題をはじめ、重い課題に直面していますが、未来を見通すに当たっては「温故知新」の心構えで、歴史をしっかり学び、時代や社会が変わっても変わらない本質を読み取り、新しい時代に対処していくことが大切であると考えます。

 これからも皆様と共に、住みよい安芸区、元気で魅力ある広島市づくりに全力で取り組んで参りますので、皆様のご指導ご支援をよろしくお願い申し上げます。

広島市議会議員 熊本憲三